歴史小説も久しぶり

世に棲む日日 三 (文春文庫) [ 司馬 遼太郎 ] 世に棲む日日 二 (文春文庫) [ 司馬 遼太郎 ] 世に棲む日日 一 (文春文庫) [ 司馬 遼太郎 ]
司馬遼太郎は好きです。(といっても「幕末もの」だけなんですけど)『世に棲む日日』を読みました。明治維新起爆剤吉田松陰高杉晋作のお話です。面白かったけど、この二人の行動原理がいまいちよくわからず、ちょっと未消化な感じです。『竜馬がゆく』の坂本龍馬や、『燃えよ剣』の土方歳三はよくわかったのですが。その分この二作品にくらべると読んでいて「燃え上がる」感じがなかったです。私的には幕末マニア以外にはおすすめできないですね。

久しぶりにSF読んだ

シャングリ・ラ

シャングリ・ラ

 池上永一は初めて読みました。超大作ですが、面白さに引っ張られて4日で読み終えました。舞台は未来の(百年後ぐらい?)東京。世界経済は二酸化炭素の排出量で動く炭素本位制になっており、国家の存亡はその削減にかかっていた。日本はそのために東京のほとんどを森林化し、都民を超巨大建造物「アトラス」に移民させようとしていた。しかし、実はそれは「選民」であり、「棄民」でしかなかった。地上に残された者は、熱帯雨林と化した土地で激しいスコールに襲われ、マラリアなどの病に苦しめられていた。その中に、武装して政府に反抗する者たちもいた。「メタル・エイジ」もそうした組織の一つだ。彼らは、20万の民が肩を寄せ合って暮らす城塞都市「ドゥオモ」を根城にしていた。その新しい城主であり、「メタル・エイジ」の総統でもある少女、國子が帰ってくるところから物語は始まる。
 その後の展開は実にめまぐるしく、見せ場の連続。登場人物も皆くせ者。「メデューサ」というプログラム一つで世界経済を牛耳ってしまう少女、絶大な権力を持ち自分に嘘をついた人間を惨死させる超能力を持つ幼い少女と、その子に仕えるエキセントリックな女医などなど。(こうしてみると女性上位な物語であり、アンファン・テリブルが活躍する物語でもあるなあ。草薙君もちょっと影薄いし。例外はモモコさんぐらいか。といってもニューハーフなんだから女性陣営?)でもやっぱり戦闘美少女國子のアクションシーンにホレボレ。(アニメにしたら凄いだろうな。というか連載されていたのが『ニュータイプ』なんだからその辺は意識されているのだろうが)SFとしても、大きい嘘と小さい嘘をからめて、現実の延長線上に虚構の世界を築く手際がとても素晴らしい。とにかくエンターテイメントに徹した面白い作品でした。
(あ、間違って自分のに星つけちゃった。わざとじゃないよ〜)  

筑波山おそるべし

 今日は1年生の校外学習で筑波山にてウォークラリー、アンド、登山です。何も知らない生徒の皆さんは行きのバスの中でカラオケ歌って盛り上がっていました。クラスの親睦深まり結構結構。しかし、私は知っていたのだ。事前の説明では、「登山と言ってもハイキング程度です」と言われていたけど、それは違うということを。そこには地獄が待っているのです。実は私は二十代前半の頃筑波山に登ってヘロヘロになってしまった記憶があるのだ。だから、できれば生徒と一緒に昇るのは避けたかったのだが、うまいことに役割分担で、昼食補助の係になってケーブルカーで登れることになり、内心ラッキー!と思っていたのです。案の定、登山の方に行った先生方は皆疲れ切って愚痴りまくっていました。お気の毒様。しかし、私の方も実はえらい目にあっていたのです。昼食補助の係は全員分の弁当をケーブルカーを使って山頂まで運ぶ仕事だったのですが、これがきつかった。係内部で意思の疎通がうまくいかなくて、私一人で6クラス分の弁当を積み下ろしするハメに。積むのは発車時刻が迫っていて大急ぎ、下ろすのは階段を上ってさらに適当な場所に積み替える。もう、腕も腰も限界を超えています。他の先生の方ものこり二クラス分とペットボトルのお茶、合わせて200㎏以上あるのを三人で運んで大変だったようです。しかもそのあと延々お弁当配り。世の中甘くはないですね。明日は筋肉痛でしかも授業4時間だあ〜。でも若者は元気だなあ。帰ってから遊びに行く相談していたよ。でも明日に差し支えないように控えめにね。

本屋大賞おめでとうございます

一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-

一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-

一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-

一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-

一瞬の風になれ 第三部 -ドン-

一瞬の風になれ 第三部 -ドン-

 佐藤多佳子『一瞬の風になれ』が、今年の本屋大賞を受賞しました。ついこの前読み終わったばかりです。面白かった。初め1巻と2巻しか借りなくて、読み終わって「早く3巻読みたい!」と思って図書室に行ったら貸し出し中になっていてものすごいじれったい思いをしました。(3巻から先に読んでいたのはいったい誰?)
 主人公は高校生の男子で、天才的なサッカーセンスを持った(後にプロになる)兄に劣等感を抱いているのですが、幼馴染に誘われて、陸上競技に転向します。そして、走ること、自分の力を伸ばすことの楽しみを知り、ぐんぐん成長していく(もちろんそんなに簡単ではなくいろいろあるのですが)という物語です。幼馴染のほうは、天才的なアスリートなのに根性無しで手間のかかる男という設定も面白い。高校1年で陸上部に入るところから3年間を追った話は、読んでいてなんか擬似部活動体験をしているみたいでワクワクします。(運動オンチな私でもそうだから、経験がある人はもっと楽しめるのでは?)3巻並べると分厚いのですが、ぐんぐん読めてしまいます。興味があったら是非。

見逃してくれよぅ〜

 今日は目出度い入学式、324名の初々しい新入生がやって来ました。式は厳粛に行わなければなりませんが、いつものように裏ではバタバタです。朝、私は1年の副担任なので、昇降口での誘導の係をふられています。いつもより10分早く出勤しなければなりません。少し早めに昇降口に行って下駄箱の位置を確認しようと思ったら、また総務のO先生に捕まって、クラス発表用の名簿を貼るよう言われました。例年貼り出しているものなのに準備してなくて、警備係に言われて急遽作ったらしく、とばっちりがこっちに来たというわけです。さて、その後自分の仕事に戻ったのですが、ここで大きなミス発生。保護者の受付が8時40分のため、それ以前に来た保護者と新入生を足止めにしていたのですが、よく考えたら、生徒は40分までに教室に入っていなければならなかったのです。つい、保護者と新入生をワンセットで扱ってしまったため、昇降口には生徒が殺到して、時間に間に合わなくなってしまいました。よく考えたら、生徒だけは先に校内に入れなければいけなかったんですね。大失敗。でも、総務の人がそう言ってくれなけりゃわからない(私が悪いのか?)のでは。ちなみに、誘導係の中に総務のA先生がいたはずなのに現場には姿はなく(どういうことよ?)、手が足りなくて困っていたら理科のM先生が自主的に手伝ってくれました。M先生ありがとうございました。
 さて、いよいよ式が始まり、順調に進んでいると思いきや、新入生を一人一人呼んで立たせていくという場面で、普通なら端から立っていくはずなのに、いきなり真ん中の生徒が立ち上がったクラスが。なんと担任の先生が入場するときの並び方を間違えていたのです。そして、生徒の名前を2回ぐらい噛んでしまった担任の先生、学年主任の名前を呼び間違ってしまう教頭先生、とハプニングの連続でした。でもそれくらいご愛嬌のうちですよね?式の終了後、学年主任の先生から教育方針の話がありましたが、巧みな話術で保護者の方々の心をガッチリつかんでいらっしゃいましたし。保護者の方々も新入生の皆さんも緊張がほどよくほぐれたようで。終わりよければ全てよし。明日から楽しい学校生活が送れますように。

I先生ご退職記念祝賀会

 図書室の主、I先生が本年度を持って定年退職されるということで、今日はパーティーなのである。私もいろいろお世話になっているので珍しく出席。I先生の人柄のごとく穏やかな会になるかと思いきや、いろいろありました。まず司会のY先生、緊張のせいなのか、乾杯の前に予定されていた主役のご挨拶をいきなり飛ばしてしまいました。しかし、Y先生のキャラクターゆえか、逆に会場大盛り上がり。その後I先生のご挨拶となりましたが、その途中から中国語の歌をアカペラで歌い上げ拍手喝采。先生の芸域の広さには恐れ入ります。本当は「笙」の演奏をお願いしていたらしいのですが、「今笙は修理中で、しょうがないから(笑)唱歌をやります(笑)」とおっしゃる。しゃれはしょうもないですが、漢文や中国料理、雅楽など造詣の深い分野がたくさんあるのです。その後、祝辞が始まったのですが、司書のE先生が、I先生へのプレゼントとして何と本格的なジャズソングを披露。普段から旦那様のジャズバンドでボーカルを担当しているとのことでため息が漏れるほどの素晴らしさ。そして締めにO先生の「大阪しぐれ」(I先生のリクエストだそうな)の類まれなるパフォーマンスがあり盛況の中会は終了しました。
 I先生がいらっしゃらなくなるのは寂しいのですが、今後は翻訳や本の執筆などに活躍なさるそうで、新しいステージがあるのはうらやましいかぎりです。私なんか定年したらただ家でゴロゴロしているだけの人生なんだろうな。

終わって始まる

 日記再開したものの、テストの採点と成績つけに追われて更新できませ〜ん、という状態が10日も続いてしまいました。このくらい間が開いてしまうと書こうと思っていたネタも忘れて姉妹勝ち(って変換されたよ)。しかも学校においては一年のうちで今が一番動きがあるのにね。しかたないからざっと思い出せるだけ書いてみよう。卒業式前後、転任する先生が誰かわかる。卒業式後、3年の先生方は打ち上げにスパリゾートハワイアンズに一泊で遊びに行った。翌日から学年末テスト開始。月曜日に自分のテストがあってあとひたすら採点。テスト返しがすぐあるので必死。テスト返し2日目、昼までに成績を出して、お昼に教科会議にかける。ギリギリ間に合う。この日来年度(4月から)の人事発表。(分掌や部活動顧問、学年と担任など)私は1年副担・管理保健部だ。それにともない教科会議で来年の持ち時間が決まる。私は16時間!今年より2時間増えた〜。土日がやっと休みで、今日は球技祭の一日目。サッカーの監督で一時間グラウンドで観戦。結構見ごたえがある。1年に負けてしまった2年8組のみなさん沖の毒でした(またこの通り変換)。でもあいつら強すぎる。ハンパじゃない。ドンマイドンマイ。午後、教科書会社に電話して、「お願いします、指導書1セットタダで頂けないでしょうか?」と情けないお願いをする。情けないことだが、予算が削られて必要数買ってもらえないので必死である。当然のことだが「上司に相談してからご連絡します」とのお答え。世の中甘くない。明日は球技祭二日目。それが終わって学年成績会議。ここで留年者が出るかでないか完全に決まる。そういえば新しく転任してくる先生が3時ごろ来ることになっていたような。それから春分の日があって、しあさっては新年殿(またかよ)準備会議が学年やら分掌やら教科やらで開かれる。そこで誰がどこの暮らす(…)の担任か、教科担当か、そういった全ての運命が決まるのである。
 というわけで、学校の裏側では着々と(というかバタバタと)来年度が動き始めているのである。