終わり×3

「最近更新さぼってますね」と3人くらいの人から言われる。「毎日更新」という目標もあっさり潰えた今日この頃。もともと「気まぐれ日記」だからね。いろいろ原因はあるけど、一番大きいのは自分の気持ちがダウンモードに入ってしまったから。授業中はヘラヘラしているからほとんどの人は冗談だと思っているが、私は本当に鬱病なんだよ。でも今日は書くネタがあるから少しだけ。
今日久しぶりに本を読了。しかも一気に3冊。
1冊目は村上春樹アンダーグラウンド』。小説ではない。前にも書いたが「地下鉄サリン事件」の被害者数十人に対するインタビューをまとめたものだ。はっきり言って誰が読んでも面白いというものではなく、お薦めする本ではない。自分でもよく最後まで付き合ったものだとあきれるくらいである。しかし、途中でやめようという気には一度もならなかった。私の中で村上春樹は変なポジションを占めている。自分の読書傾向はひねくれている。いわゆるベストセラーには全く関心がない。(だから同じ村上でも龍の方は大嫌いだ)だけど昔、「ノルウェーの森」を人に薦められて(というか十数年ぐらい前の国語の教員は、文学的な教養を重んじていて、話題作があると誰かが買って、その本を回覧して評価し合ったりとかしていたのだ。ちなみに演劇などもみんなで見にいったりしていた)気が進まないままに読んだら、あっという間に没頭してしまった。以来しばらく他の作品も読んでいたのだが、ある時からぷっつり読まなくなってしまった(特に理由もなく)しかし、最近になってまた再燃し、空白だった時期の本を片っ端から読んでいる。そのあたりが変なのだ。大体私はある作者の本が面白いと思うと、しつこく追跡するのだが、その後急に嫌いになってよまなくなってしまうというパターンが多い。でも村上春樹の場合だけは違っていたということだ。じゃあなぜ、どの辺が好きなのかという話になると長くなるのでやめとく。ただ、本題に戻ると、『アンダーグラウンド』を読み続けた理由は、自分の中のある種の想像力が、村上春樹がこの本を書こうとし、書き続けた動機とシンクロしているからだと思う。地下に潜む「やみくろ」あるいは「みみずくん」の存在は、私に一定のリアリティを喚起する。だから、あの事件から十年たって、福知山線脱線事故があったというのはものすごく恐ろしいことに感じられる。あれらのものはとうとう地上にまで姿を現したのかと。そしてそれは「皮剥ぎボリス」ともつながっていたのかと思わせるからだ。
2冊目、安彦良和の対談集『アニメ・マンガ・戦争』。これもすごかった。ガンダムの内輪話が多いのかと思ったら、最終的にはナショナリズムと民主主義の話で大バトルが展開される。これも誰にでも薦められる本ではないが、興味のあるところだけ読んでみても良いだろう。内容は後日紹介する予定。ところで、この本を読んでいてものすごいビックリしたことがあった。実は私がこれを読みたかったのは、某少女漫画の巨匠との対談が入っていたからだ。その先生のおかげで自分は何とか十代の間を生き延びられたというくらいの思い入れがある。で、それぞれの対談の扉絵は、安彦氏が書いた似顔絵なのだが、そのページの下段に小さく、その人の略歴が書かれている。で、その先生のものを何気なく読んでいると、「え、これどこかで読んだよな。というか私が書いた文章じゃないの?」愕然。どこに書いたものかというと、この「はてな」のキーワードのその先生の項目があまりに簡略すぎるので、私が編集して付け足したものだ。たぶんこの略歴と脚注は編集者がかなり急いで作ったもので、(ところどころ変な部分があるからそうと解るのだが)該当箇所は資料が無くて、手っ取り早く「はてな」の説明を切り貼りして作成したものと推測できる。だから、とても複雑な気持ちだが、先生の肖像の下に自分の文章が載って本になっているという身に余る光栄にしばし呆然としたのは確かである。
3冊目(というかまだ単行本は出ていないのだが)はその萩尾望都先生の『バルバラ異界』。雑誌連載を追いかけていて、とうとう今月号で完結。ラストに感動。これはSFが分かる人にはお薦めのマンガ。そのうちちゃんと紹介します。
ところで、さっき「放課後の国語」のトップを見たらカウンターが「4999」。とうとうここまできました。見に来てくれる皆さんどうもありがとう。記念の5000キリ番は自分で踏まなくて済みました。踏んだ人(誰かな?)特に特典はありません。ごめんなさい。