梨木香歩『ぐるりのこと』

ぐるりのこと

ぐるりのこと

ちょっと、この装丁はどうかと思うのですが…。題名だけ見ると童話みたいですが、なんて言うのかな?随筆?入り方は身辺雑記みたいなんだけど、だんだん今の「世界」のあり方への疑問へ発展していく。この人でなければこんなアングルで物事を見られないよ、という視点へじわじわと自分が引き込まれていく違和感がだんだん快感になっていく。特に、「境界」の「中」(境界内、というのではなくて「境界」そのものの「中」)に入り込みたい、「線」としてではなく生きたものとして「境界線」を感じ取りたい、というあたり、は個人的にすごく興味がある。(「境界をなくせ!」というのが私の隠れたスローガン)そして、「共感」する、ということが実はとても浅くて狭いことなんだという境地。もう絶句。(ローザ・ルクセンブルグの文章の引用に感動してしまったのに、すぐその後にそれだけではダメなんだと言われた日には…)どこまでいくんだ梨木香歩
そういえば小説の新刊が出ていた。またE先生に頼もうかな…
沼地のある森を抜けて

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