ビンゴと民主主義と日本人の美徳

そういうわけで、昨日のネタに言い訳をつけておきます。
問題点は三つあります。

  • 総会の参加者が絶対的に少ない
  • 総会の内容に盛り上がりがない
  • 総会における民主主義のシステムがうまく作動していない

まず、参加者が少ないことの原因は、様々だと思います。PTAの活動に興味関心がないことに始まって、忙しくて時間の都合が付かない、子どもが高校生になってあまり学校の様子を心配しなくなったなどなど。役員の方々もこの点に関してはいろいろ工夫をなさっていることは間違いなく、授業の参観を午前中に行う。昼からは「受験生に親がしてあげられること」という魅力的な講演会を行う。そして、それが終わった瞬間休憩を挟まずすぐ爽快に突入することで、休憩時間のどさくさに紛れてみんなが帰ってしまうのを防ごうとする。もうこれ以上はないという位努力されています。でも現実は……先に述べた通りです。だから、いっそ開き直って少なくても来てくれる人だけでこじんまりやればいいじゃないか。と言うのは妥当ではないと思います。例えば、高校の生徒総会はいやでも全員参加じゃないですか。で、数の多さはそれぞれに違った考え方や態度を持った人間が必ずそこに存在していることを保証します。だから、質問や意見は必ず出てくる。(中には突拍子もないのもあるのですが)しかし、PTAの総会にはそうして拘束力がないので、出席して下さる人たちは、真面目で忍耐強い典型的な良き日本人に限られてきます。そして、良き日本人は自分の意見を表に出さず、全体に従うという「集団主義」を美徳と考えています。だから、質問も意見も封印され、出された原案に拍手を以て賛成して下さる。そうやって無事に会はおわります。だから対立する意見の議論とか、次年度への改善点は全く出てきません。でもね、みんなが時間と労力を割いてやっているイベントで何かが変わらなくちゃ意味無いと思いませんか。ただ議案が読み上げられるのを聞いて、拍手するだけのマシーンとして過ごす時間はもったいなくないですか?数さえ集まれば、何かが起こる。それを実現するためなら、おちゃらけのビンゴ大会にも意味があると考えるのですが。
二つ目、内容の問題です。まず校長先生の話が長かった。正確には11分。この段階まで一時間講演聞きっぱなしのみなさんにさらなるダメージ。そして、これはどこの学校へ行っても同じなのですが、疑似というのは、それぞれの担当者(行事とか予算とか)が、PTA資料を最初から最後まで棒読みしてるだけなんですよ。それで50分ぐらい。講演会から通算すると2時間経過。でも、残っている方達は文句も言わず真面目に聞いています。でも、質問は一つも出ません。前に書いた参加者の方々の「美徳」によるものでもあり、議題の内容に具体性が無く、突っ込みようがないからでもあります。で、説明している方々への要望として、具体的な問題や、活動の楽しさみたいなものを盛り込んでみてはいかがでしょうか。たとえばPTAの研修旅行がこんなに楽しかったとか、PTA予算が減ってしまうんですけど、どこをどう削ったらいいかお知恵を貸して頂きたいというお願いとか。数字の羅列を聞いただけでは「参加」の意義が見つからないけど、あ、そんなことならやってみようかな、と言う気になってくれる人も出てくれるのではないでしょうか。逆に、PTAである経費が削減されてしまって、それによって教育活動に支障が出るおそれがある、という質問をしてもらって、みんなでアイディアを出し合ったり。
ただ拍手するだけでは、丸山真男先生がおっしゃるような本当の民主主義が姿を消し、形骸化された手続きだけが、残っていくでしょう。
そういうわけで、まずビンゴから、そして総会のあり方を変える、日本人の美徳はおいておいて、民主主義組織としてのPTAの活動を活性化させる。正確に言うとそんなことを考えております。