森絵都「DIVE(ダイブ)!!」読了

DIVE!!(1) 前宙返り3回半抱え型 DIVE!!(2) スワンダイブ DIVE!!(3) SSスペシャル’99 DIVE!!(4) コンクリートドラゴン だいぶ時間がかかったが(はは・・・)、全4巻読み終わった(長さ的にはたいしたことがないけど、なかなか時間が無くて。最近こればっかりだ。)途中で少しくじけそうになったが最後まで読んで報われた!(飛沫と要一の部分があまり感情移入できなかったんだけど、最終巻はすごかったので)オススメ度、星四つ。読むなら、一気に全部読むとよいです。柏南の図書館にあります。
「内容紹介」・ほとんどの人にとって未知であると思われる、水泳の「飛び込み」に打ち込む少年たちの物語。「ミズキダイビングクラブ」に所属するごく普通の中学生「知季」、飛び込み界のサラブレッドと呼ばれる高校生の「要一」の前に突如現れたエキセントリックな謎の女性コーチ。そして、彼女が連れてきた幻の天才少年「飛沫」。その日からクラブの存続をかけた無謀なまでの挑戦が始まる。最終ステージはシドニーオリンピックの代表をかけた選考会。その時を目指し、少年たちは激しい練習に打ち込むが、それぞれに葛藤・挫折が待っていた・・・
「コメント」・筆者自ら「スポ根小説」と呼んでいる通り、ストレートな構成と、緊張感(もちろんいつものほのぼのした「笑い」もありですが)で突き進んでいく感じ。もっとも現在において「スポ根もの」(もちろんマンガのジャンルであって、小説にはもともとなかったはずだが)が、存在しているのかは疑問だが。かつての「巨人の星」・「アタックNO.1」などは、笑いのタネとしてしか触れられなくなったのではないだろうか。そんな中「ダイブ!!」は、ポストモダン的な「スポ根」として新しい可能性を開いているのではないだろうか。「近代的スポ根」では、「巨人のエース」・「オリンピックの金メダル」という明確かつ絶対的な目標があって、それを目指す多くのライバルたちと競うことがドラマを成立させていた。一方「ダイブ!!」では、選手たちはそれぞれ自分の内面に求めるものがあって、それを実現するために戦っている。だから、技術的な練習や、競技自体の描写はきわめてあっさりしており、むしろ、日常生活の中でのこまかな心の動きがメインになる。つまり、絶対的な価値がデフォルトとして存在していた「元祖・スポ根」でなく、序列ではなくそれぞれの選手の「差異」が物語を動かす「ポスト・スポ根」を成立させた点がすごい!と私は考えました。でもやっぱり最終巻の「ドキドキ」がたまらなかったなあ。