、及び[マンガネタ]

そういえば、エリスのモデルは誰なのか?というのがうやむやになっていました。一応フォローしておきましょう。前にも言いましたが、鴎外が帰国した直後、それらしいドイツ人女性が追いかけてきたというのは事実です。これは今の感覚だと「そりゃ大変だ!」くらいで終わってしまいますが、当時の状況からすればとんでもない出来事です。今のように飛行機の定期便があったわけでもなく、(本当に世界はとても広かったんです)、日本とヨーロッパの国交だって始まったばかりで、女性が一人旅で来るなんて。ほとんどスペースシャトルで宇宙ステーションに行くのと等しいくらいの感覚ですよ。(大げさかな……)そういう歴史的な事件であるにも関わらず、その追っかけてきた女性がどんな人物なのか実はハッキリしていないのです。何しろ鴎外の親戚一同が全力を挙げて追い返してしまったのですから。(本人の鴎外は言うわけないし)最近までは一応の定説として「エリーゼ・ヴィーゲルト」という名前で、銀行の経営者の令嬢といわれていました。しかし、近年異説を唱える人がいて、その「エリーゼ・ヴィーゲルト」という女性は鴎外より五歳年上で、当時結婚していて子供も二人いて、後に名誉裁判官になるほどの人物で、一留学生を追っかけてくるはずはないとおっしゃっています。だから来たのはその人ではなくて、「ルイーゼ」という名で、本当に舞姫で、年はエリスと同じくらいでお父さんは仕立屋と、かなり小説とシンクロした女性だと推測しています。(でもそれならどうやって旅費を得たのかという疑問もあるのですが、私はその本を読んでいないのでそこのところはよくわかりません)まあ結局は『舞姫』はあくまで良くできたフィクションなので、モデル探しが全てではないんですけど。その本
新説 鴎外の恋人エリス (新潮選書) 新説 鴎外の恋人エリス (新潮選書)
ついでに、『舞姫』関連のマンガを紹介しておきます。「秋の舞姫」(「坊っちゃんの時代第二部」関川夏夫、谷口ジロー双葉社)。このシリーズは、明治時代の文学者、有名人の「あり得たかもしれない出会いと交流」を描いた群像ドラマです。(事実をふまえた上でエピソードは創作なわけですが)明治の歴史や文学に興味があったら手にとって欲しい一冊です。ちなみに柏南の図書室にもひっそり置かれています。(私も昔読んだのですが内容はほぼ忘れました。ただ、鴎外が全てが終わった後で「自分は武士ですから」といって事件に関して口を閉ざしてしまう場面だけが記憶に残っています。それが鴎外嫌いになったきっかけかもしれません)
『坊っちゃん』の時代(第2部) 秋の舞姫―凛烈たり近代なお生彩あり明治人 アクションコミックス 『坊っちゃん』の時代(第2部) 秋の舞姫―凛烈たり近代なお生彩あり明治人  アクションコミックス
それと、この日記の『舞姫』をクリックすると、現在「ダ・ヴィンチ」に連載中の山岸凉子のバレエ・マンガ『舞姫テレプシコーラ』に飛んでしまいます。実は私これを読んでいるのですが、面白いよ。今は最初に比べると方向性が変わってきたような気がするのですが、よけいに面白いです。(特に新たに登場した椿ちゃんが好きなキャラです)
舞姫(テレプシコーラ) (6) (MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ) 舞姫(テレプシコーラ) (6) (MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ)