放射能が漏れたわけじゃないからたいしたことはない」とか「火力発電も同じシステムなんだから原発だからといって騒ぎ立てるのはおかしい」という論調もあるけどどうしてそんなに楽観できるのかわからない。第一に、事故が起きた部分は、一般人の見学ルートだった。もっと多数の、全く無関係な人が犠牲になる可能性だってあったわけだ。第二に、関西電力の事業本部長が会見で、「私たちがきちんとしていれば、こんなことにはならなかった」と述べていることだ。つまり、現状では「きちんとしていなかった」のであり、しかもそれを黙視していた、ということになる。一度事故が起きれば、取り返しのつかないことになる「原発」をそういう姿勢で運営していたということだ。第三に、ここ数年で「臨界事故」、「事故隠し」という大きな事件があったにもかかわらず、それを単に対岸の火事としか受け止めていなかったということだ。今の高校生のみなさんは、チェルノブイリのことは全然実感としてはないと思う。あれだって、ロシアであったことだから、きっと技術不足で起こったんだろうと思われがちだが、実際は当時の最新鋭の施設で、何の予兆もなく発生した事故だ。美浜みたいなオンボロの原発だったら、それ以上に注意深く運転しなきゃいけないのは誰にだってわかるだろう。それなのに、もう何十年とたいした事故も無いんだからと、たかをくくって、ルーティンワークとして漫然とやっているのだから、背筋が寒くなる。大人はすぐに「今の若いやつはなってない」と言うが、大人の方がよっぽどなってないんだ。そういう大人が将来のみんなの人生を不作為によって破壊しつつあるということに警戒した方がいい。それは、「年金」の問題も同じ。将来破綻するとわかっていて、「きちんとした」改革は先送り。自分たちは十分な受給を受けて、あとは関係ないとしか思っていない。たぶん、私が受け取る頃はダメになってる。退職金だって危ない。「少子高齢化」「人口減少社会」についても有効な対策がとれず、事態は悪化し続ける。これらをどうにかするためには、今やらなかったら間に合いはしない。みんな、もっと大人を疑いなよ。そして必要な行動は自分たちで起こしなよ。これからは、「世代間闘争」をしなくては生き延びていけないと私は思うな。ともあれ職責を果たそうとして亡くなった方々のご冥福を心よりお祈りいたします。