犬の気持ち

 朝一番で珍事が。一年の教室に黒ラブが侵入したらしい。最近犬好きになった私は、一時間目に授業が入っていないのをいいことにのこのこ見学に出かけた。行ってみると一足先に動物大好きのK先生が、すでに確保(?)。私も触りたかったので、一緒に首輪をつかんで連行。その後どうしようという考えもなかったので、K先生の提案でとりあえず事務室へ(放したらまた元に戻るおそれがあるので)。事務の人のが警察に連絡して預かってもらうのがよかろうと、電話してくれた。そのまま事務室に置いておく訳にもいかず、外に出してひもでつないでおくことに。いやがるかと思ったら、とてもおとなしい犬でお座りのままじっとしている。でも人なつっこくて、体育の授業で持久走をしている生徒が近づくと、すり寄っていってなめたりしている。かわいい。とりあえずお腹を減らしていたら可哀想だと思ったが、あっちこっちあたってみるも餌になりそうなものはなく、用務員さんにお願いしてバケツで水をあげてもらった。すごい勢いで飲んでいる。ずっと迷っていたのだろうか。見た感じでは黒ラブの成犬にしては少し小さいような気がする。子犬なのか?でも首輪はかなり年季が入っている感じで、少なく見ても三年は使っていそうだ。雑種なのかもしれない。そうこうしているうちに、警察の人が到着。「事情聴取するので、来て下さい」と言われ、授業が終わったK先生にお願いしてしまう。法律的には犬は「拾得物」なので拾った人が状況を説明しなければならないらしい。気になるのは今後の彼の運命である。はたして飼い主が無事見つかるのだろうか。見つからなかったらどうなるのだろうか。保健所行きだったら酷いなあ。でも私のうちで飼う余裕もないし…。人間が動物を飼うということは、エゴだとずっと思っていた。でも成り行きで犬を飼うことになり、飼いたいと思う人の気持ちもわかったような気がする。飼う人間の責任が重いことも。どうか飼い主さん、あの子を早く引き取ってあげて下さい。