種デス、まだ書くよ。

対立軸1、タリアvsマリュー
軍隊組織の中で、艦長は指揮官であると同時に、艦隊司令・中央司令の命令は遵守しなければならない。それが大人として、軍人として果たすべき責務だ。たとえ、疑念や不満があっても、逆らうこと・無視することは規律違反であり、重大な背信行為である。しかし、マリューは、部下を守るため、人間としての倫理観を貫くため、その枠組みをブチ壊す、という道を選ぶ。一方タリアは、軍人としての行動原理に違背することはない。彼女は模範的な指揮官として、全体の戦況・館内の状況を熟知した上で、命令に反しない範囲において、部下の命や、人間としての倫理を可能な限り尊重しようとする。とても成熟した指揮官だ。どちらかといえば私は、マリューの肩を持つ。しかし、物語中では、この対立は、アークエンジェルミネルバを撃沈することで、青い正義感に勝利が与えられている。そして、タリアは初めて立場を捨てて、個人の愛に決着をつけに向かう…。ここはまだ甘いな。人間が組織の原理によって判断停止をし、そのことで自己の存在を確かなものにしようとする性向を持つ存在である限り、まだまだ、マリュー流は、そうした枠組みを解体することはできないと思うのですが。
対立軸2、デュランダルVSラク
イマイチ議長の背景がわからないので、結論は出せないが、彼のやろうとしていることは、ナチスの優性政策や、逆に共産主義的管理社会を目指すものであるようだ。現実の歴史に照らしてみればそれらは明らかに人類全体の拒絶反応によって消えていった。動機の面から考えれば、純粋に「善意」から出た発想だが、発想自体にも、実現方法にも許される余地はまったくない。しかし、ラクスの側が正しいかと言えば、「自由と明日を守るためなら、通常兵器はいくらでも開発を進めていいし、力あるものがそれを使って戦いを続けることは正義である」という点で、現在のアメリカの傲慢に近いものがある。だから、この対立軸はたて方自体が間違っているような気がしてならない。しかも、その解決に当たっては、ラクス自身は後ろに下がって、キラに責任を負わせてしまっている。そこにも問題あり。
対立軸3、シンvsアスラン
シンは兵士として全く単純で、犠牲になった人間への負い目と、犠牲から救うべき人々への責任を戦う動機としている。一兵士としてはシンプルで、筋が通った生き方だ。彼はまだ少年であり、戦争全体の意味など考えない。アスランは、逆に1パイロットが考える必要のない大局的な見方に踏み込んでしまっていて、兵と指揮官、個人とリーダーの立場で宙ぶらりんになって苦しんでいる。いずれシンもそうなるのかどうかはわからないが、迷いがない分、パイロットとしては強い。そして、散っていった友(彼に本当に「友」はいたのだろうか)への思いもそれを補強する。だから絶対負けるはずがないと、私は思っていたが、あっけなくジャスティスによって撃破。ちょっと納得いかない。それに、アスランの説得はシンには最後まで届かず、この軸は解決がない。本当なら、デュランダルとの対決の場に、この二人は立ち合うべきであったと思う。そうでなくては真実は見えない。
対立軸4、レイvsキラ
あまり前線に出ることがなかったレイが、まさかクルーゼの亡霊として、キラの前に立ちはだかるとは思っていなかった。互いに人為的に作り出されたものとして「運命」を背負わざるを得ないのだが、それを知らずに生きてきたキラは、普通の人間としての優しさを損なうことなく生きることが出来た。しかし、レイたちは人間に対する憎悪から目をそらすことは出来なかった。同じ「運命」を持つもの同士が閉鎖された環境の中で生きてきたことがその原因と思われる。だから、ここでの「悪」は「無反省に進歩を追い求める科学技術」なのであって、キラはたまたま運良くその影響を受けなかったから、彼らと違う道を歩んだに過ぎない。そのことに気付かされたレイは、最後にデュランダルを撃つ。限られた命であっても「自由」さえあれば、自分にとって意味のある生き方は出来たはずだから。だが、一方のキラが、「戦う覚悟を決めた」と言ったこと、それでいいのか?

最近、物語の中の絶対悪として「大量破壊兵器」が登場することが多い。疑問に思うのはじゃあ通常兵器はあってもいいのか?ということだ。人を殺すことを目的とした道具に違いはないはずだ。そしてもうひとつは、イラク北朝鮮など、新興の「大量破壊兵器」保持国は糾弾されるのに、現に数多くのそれを持っている国々は問題にならないのはなぜかという疑問だ。私たちはだまされてはならない。問うべきは「兵器」そのももの存在意義であり、持っているのが誰であってもそれを放棄することが最終的な解決だ。
最後に、私の最近とりつかれている過激なアイディア。持続可能な成長などと言うおためごかしはもはや通用しない。途上国が先進国並みの成長を享受できないなら、先進国が途上国並みに生活を落とすしか、全地球的問題の解決法はない。科学技術はもういい。ミサイル防衛に何十億という金を出すなんてアホらしすぎる。