まだ物珍しいらしく、知っている生徒がなぜ坊主頭にしたのか聞いてくる。しかも、「浮気がばれた」、「キャバクラ通いがばれた」、「万引で捕まった」などと根も葉もない理由を勝手につけてうわさをひろめている。だから〜そんなことするわけないってば。単にさっぱりしたかっただけで。
まあ、一年生はこの頭しか見たことがないので、これがデフォルトだと思っているからいいけど。
でもこれも一時のことで、三回も見れば見慣れてしまって、何にも言わなくなるんだろう。それが人間の大事な能力「慣れ」というものだ。
例えば、最近家のテレビが徐々に写りが悪く(というか「色」が変になった。どうもRGBの「G」の電子銃がいかれてしまったらしい。森も、ほうれん草も一様に茶色にしか見えなくなってしまった。)しばらく我慢していたが、やむなく液晶でもプラズマでもないただのブラウン管のやつを買った。それを初めて見たときの感動はすごかった。世界はこんなに色鮮やかなんだ!家中全員がテレビをつけるたびに「うわー」「すげー」「ひえー」と騒いでいたが、三日もすると何事もなかったように普通に見ている。人間は自分の周囲のものを「当たり前」のものと捉えることで、安心していられる。感動するのも大切だが、いちいち感動し続けていると、疲れ切ってしまう。感動も、新鮮も、ほどほどがよろしいようで。